Windows10非対応となったDTM音源たち
要約:SonicCellとUM-2をWindows10でも公式ドライバで使いたかった…あとSonicCell、SD-90、SC-88Pro、SC-55mk2のDomino用音源定義ファイル数年前からちまちま作ってるけど作業量多すぎて全然終わらない…
追記2016年5月上旬:
Windows10 でSonicCell、SD-90、UM-2の、USB接続Win8.1ドライバをWin10用として動作しました。Win7~8.1用のドライバがあるRoland製品ならWin10でも普通に動くと思うので、あまり悩まずWin10にアップグレードしてもいいと思います。手順も一度やってみれば特に難しくないと思います。
Fantomシリーズ、SD(Native)シリーズ、SonicCell におもいっきり非対応のバツ付いてますね。ハードウェアDTM音源でWindows10に対応しているのは、SD-50、INTEGRA-7 だけになりました。
(「DTM音源」か「シンセサイザ」かって言うと「DTM音源」はSD-50やSD-20、INTEGRA-7やFantomシリーズは「シンセサイザ」で、実質 SD-50が最後のDTM音源なんじゃないでしょうか…。)
それはさておき
今時代ハードウェア音源をUSB接続して一台完結させるような時代ではないのでしょうが、USB接続で気軽にMIDIを作れた代表的なハードウェアDTM音源の SD-90、SD-80、SD-20、SonicCell がUSB接続で使えなくなるというのは結構ショックです。
特にUSB接続が不可能になることで、各音源用のエディターソフトも使えなくなりますし、なによりオーディオインターフェース&オーディオエフェクター搭載機種の機能が使えなくなります。
…今みんなDAW使うから、マルチティンバーのハード音源やハード音源に搭載されたオーディオIFなんてニーズ的にもビジネス的にも要らないんでしょうけど、SonicCellのオーディオIF機能と別れるにはあまりに惜しいです。SonicCellのオーディオIF、音源に搭載されてるモノにしては結構質が良い気がするんですが。SD-50よりは確実にDAC良いです。
あとMIDIインターフェースも最近のIN/OUT数1のもの除いてほとんどWindows10非対応になってます。MIDIインターフェースはUSB接続しかないので、MIDI接続ができる音源と違って「OS非対応=使用不能」です。
MIDI-IN/OUTが2つ以上あるMIDIインターフェースも、もう時代的に無くなるんでしょうか? ハードウェア音源を複数つなげる運用できなくなったらヤだなぁ…。UM-2愛用しているので悲しいですね。
ハードウェアドライバの関連ファイルを書き換えて、ドライバ署名の強制をOFFにしたりOSのテストモード等で運用する方法があるようですが、「ハードウェア自体を壊しちゃうリスク」が万一なくはないので、私はちょっとやれません。悔しいですね。
コメントで頂いた情報から、情報を書き換えた関連ファイル(無署名となる)を元にインストール(署名の強制をOFFにし無署名インストール)されたドライバは、インストール後にOSのセキュリティレベルを元の水準に戻しても動作するそうです。書き換え捗りますね(おやくそくとして「自己責任とし、一切の責任を負いかねます」がもれなくついてきます)。Windows10にアップグレードしない理由がなくなりましたね…。
こうしんほうこく
ところで、Domino音源定義ファイルはSD-50の他にも2010年頃からいろいろ作ってるのですが、いかんせんMIDIエフェクター搭載してる音源は作業量多すぎて全然終わる気がしません。あとSD-90~Fantom~SonicCell(Roland 2000年代のGM2規格音源)のパラメータアドレスの構造がSCシリーズと比較してゴチャゴチャ*1しててDominoの変数仕様的にマクロ化できなかったり*2 *3とか。
ちなみにSonicCell、SD-90、SC-88Pro、SC-88、SC-55mk2、SC-55 用の定義ファイル作ってます。完成してませんけど。記述率50%くらいです。
SC-88ProやSC-8850の音源定義ファイルはDomino本体に付属してますが、マクロとして登録されているカットオフ/レゾナンスやアタックタイム*4がNRPN(GS用メッセージ)ではなくGM2メッセージだったり*5 *6、ディレイの数値が具体的に何msecで何%なのかラベルが無くてわからなかったりとか、コントローラーアサイン*7ができなかったりします。
どうせだし1から自分カスタムで作ろう、みたいな安易な思いつきで収集つかなくなってるパターン。SC-55mk2/SC-55 はSD-50の定義ファイル*8があるので、マクロ番号とテーブルデータ番号を整理するだけなんですけどね。
定義ファイルオープン開発プロジェクトとかないかな…ないか(他力本願)
▲SC-55mk2初期ロット かわいい。
*1:カテゴリーのアドレス部の8bitとパラメータのアドレス部の8bitが共有してたり、取りうる値によってアドレスを遡って加算減算する必要があって非常にアレ
*2:Dominoは記述の仕様上、MIDIメッセージの変数8bitどうしを加算したり減算したりができません。
*3:っていうかもともとDominoそのものが「SC-8850を腐らせておくには勿体無いな」ということでSC-8850をメインに開発された、つまりSCシリーズ音源向けのMIDI編集ソフトなので…。
*4:Tone Modifyパラメータ。
*5:SC-8850/SC-8820はGM2対応したGS音源なのでGM2メッセージでもパラメータが変わる。
*6:SC-88Proは例外的にGM2のTone Modifyを受信してくれるから一見問題ないように見える。SC-88Pro発売当時はGM2規格ができたての頃だったかと思います。
*7:ModulationやPitchbendなどの効き方を調節したり、好きなコントロールチェンジ番号に好きな効果を設定したりする。
Roland SD-50 Domino用音源定義ファイル 完全版(Ver 1.02)
レンタルサーバーの解約しちゃったので、
Webページ「マボロヨ8850」は閉鎖しました。
Domino用SD-50音源定義ファイル (ver1.02) はこちらに置いておきます。
⇒ https://1drv.ms/f/s!AOHsLiGog1oMgWg(Microsoft OneDrive)
- ★DominoでSD-50の機能がよく使えます
- ★DominoでGM2規格メッセージがよくつかえます
- ★DominoでGS規格メッセージ(55水準)がよくつかえます
- 他のGM2音源でもつかえます(GM2規格用の機能を)
- 他のGS音源でもつかえます(GS規格[55]水準の機能を)
Roland SD-50 Domino用音源定義ファイル(旧ver)
■ Domino音源定義ファイル
Roland SD-50 用 【 Ver 0.90b 】
2014年最新版を公開しました!
ダウンロード ⇒ マボロヨ8850 - Domino用音源定義ファイル置き場
▲私のWebサイトからダウンロードできますので、どうぞ。
[2015.1.1 追記]
Webサイトが無くなってしまったので、
定義ファイル(ver1.02)のダウンロードはこちら↓
Microsoft OneDrive( https://1drv.ms/f/s!AOHsLiGog1oMgWg )から
お願いします。
■使い方■
①xmlファイルを、Dominoの「Module」フォルダに投げ込みます。
②MIDI OUTでRolandフォルダに登録されます。やったね。
SD-50用ですが、SC-55mkII水準のGS規格MIDI・GM1準拠MIDI・GM2準拠MIDIを作るための定義ファイルとしても使用できます。
■SD-50本体の不具合仕様■
GM2フォーマットで実装が義務付けられているシステム・エクスクルーシブ、「マスター・コース・チューニング」が効かない。
(ただいまRoland社に問い合わせ中。修正アップデータが出ることを祈りましょう…)
SD-50では、SD-50本体の「KEY CTRL」ボタンと競合するため無効になる製品仕様とのことです。エェ……GM2音源のクセに?
ちなみに SD-50システムプログラム Ver1.05(非公開版)だとUSB接続時に限りマスター・コース・チューニングが効くようになります
■実装■
■未実装■
- GM2の音階調律エクスクルーシブマクロ(変数12個も必要だからDominoじゃ実装むり。その代わりGSエクスクルーシブかSD-50エクスクルーシブで音階調律できます)
■暫定公開版 (Ver0.8、Ver0.9) からの更新■
- 16000行あったアホみたいなテーブルデータを修正。
- サイズも軽く、参照も早くなりました。
- エクスクルーシブのタイプミスを修正。
- Master Fine Tuningなどが正しく動作するように。
- マクロの補足コメント強化。
- よく知らないメッセージも使い方や効果が判って安心。
- 補足コメントのタイプミスを修正。
- より正確に
- マクロの並び順を目的別に整理。
- Domino公式のSC-88Pro定義ファイルに近い並び順に。
- マクロのフォント配色を修正。
- 種別毎に色分けして見た目の分別をねらう。
- 不要なマクロを除外。
- 意味無かったり未実装だったりしたものを非表示に。
- SD-50独自のシステムエクスクルーシブをぜんぶ実装。
■ファイルについて■
オープンソースです。改造するなりなんなりどうぞ。むしろベシベシ改造して公開してほしいです(参考にしますし)_(┐「ε:)_
Roland SD-50の仕様とか
Roland SD-50の仕様について未だ結構勘違いされてる方も多いようなので、「今パッと思いつく所」だけ箇条書きでまとめてみました。
Mobile Studio Canvas SD-50 バンドル
Roland SD-50 モデル
・GM MODE
| |―・GM2 MAP
| | |―・CONTEMPORARY MODE
| | |―・CLASSICAL MODE
| |
| |―・SD-50 PRESET MAP
| |
| |―・SOLO MAP
|
・GS MODE
【GMモードについて】
- 「GM1 System On」、「GM2 System On」を受信するとこのモードになる。
- 「GM1 System On」と「GM2 System On」の、どちらを受信してもSD-50の「GM2マップ」は使える。
- 「SD-50 SOLOマップ」と「SD-50 PRESETマップ」は、「GM2 System On」を受信させないと使用できない。
- 「GS Reset」、「System Mode Set」などGS音源のシステムセットアップメッセージを受信すると「GSモード」になる。
- 「GMモード」下の3マップ( GM2 MAP、PRESET MAP、SOLO MAP )は併用可能。
- 「GMモード」と「GSモード」は併用不可。
- SD-50本体側の設定で、GM2マップを指定して鳴る波形を「CONTEMPORARY」か「CLASSICAL」の2つのモードに任意変更出来る。
- 「CONTEMPORARYモード」はSD-50のメインのモードで、実はFantom-Xよりも後発のFantom系の音です。DTM音源用にダウングレードした感じとはいえFantom-VSと同じ音してるので、Fantom-VSと同じようにFantom-Gの波形を流用したパッチをプリセットにしたのだと思います。まあFantom-GとFantom-VSなんてすごいものは持っていないので、実際に音聴き比べた私感ではありますが……。
- 「CONTEMPORARYモード」の長所は、単純にいい音の音色なこと。「SD-」なんて名前が付いてるものだから、よくXVシリーズ派生型のSD-90/80、SD-20と比較されますが、波形メモリ的にはXV系ではなく完全にFantomシリーズ派生型です。ちなみに、Fantom-X派生のSonicCellよりもクワイア・金管・木管の音が良いです。
- 「CONTEMPORARYモード」の欠点は、音が太いぶん音色同士が混ざり合いにくいこと(当然といえば当然なのですが)。MIDI演奏だけでアンサンブルさせると帯域同士が被ってマスキングしやすいので、すっきりさせるにはDAWで録音した音声をEQで処理してMIXさせていくスタイルを取ります。「音が薄いぶん昔の音源のほうがまとまりやすかった」というのはSD-50に限った話ではないので、特に気にしなくて良いと思います。
- 「SD-50 SOLO MAP」はバイオリン、トロンボーン、尺八の3音色。
- この3音色、予めコントロールチェンジ#16~19、#80~#83のTone Modifyにパラメータがアサインされていて、ピチカート奏法に変わったりフォールしたりブレス量が変わったりなど、音のニュアンスが変化します。
- 奏法ニュアンスをアコースティックに表現できそうな分、奏法を知っておかないと「それっぽい表現」の打ち込みをするのがめんどくさいかも。
- 「それっぽい」にそこまでこだわらないのであれば、新しい音色が手に入ったぞ、で幸せになれるのでそれはそれでいいと思います。
- 誰だ尺八要らんって言ったやつは。
- この3音色については、SuperNaturalに似ているけど、SuperNaturalの前身はFantom-Gシリーズなので、SD-50のSOLOマップは……なんだろう? おまけ?
【SD-50のGSモードについて】
- 「GS Reset」、「System Mode Set(SC-88)」を受信するとSD-50はGSモードになる。
- SD-50のGSモードはSC-55マップそのもの(昔の音源の中身も一緒に積んでると考えればいい)です。波形メモリは、おなじみSC-88系のように、SC-55MAPの波形をそのまま積んでいます。よくカタログスペックだけ見ている人やエアレビューしている人の文章で「SC-55相当」って書かれていますが、間違っていますのでアテにしないほうがいいです。「SC-55相当」っていうのは、GSフォーマットMIDIの音色指定を「SC-55mkIIの音色指定相当の互換性で」GM2パッチで代替発音させていた、他のGM2音源の話です。
- 正確にはSC-55/SC-55mkIIとDAC(発音部)などハードウェア部分が異なるので、出音に違いはあります(音がクリアすぎる。オリジナルSC-55やSC-88の55MAPはもうちょっとくぐもった音してる)。最大発音数128ボイスのSC-55。
- カットオフ/レゾナンスのフィルターの効きはSC-88系のSC-55マップと同じ。SC-88系と同じで、オリジナルSC-55とは効き方が違う。
- 回線速度が強化された今時代、mp3にとって代わられたMIDIデータをやり取りして……なんて事は一般的じゃなくなったので、MIDI再生&視聴用にはさほど向いていません。普通にGS音源として使うか、軽い音がほしいなあって時、コンテンポラリモードのアンサンブルに混ぜて使うのに向いています。
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SD-50のGSモードは物好き向けですが、Fantom系の音源とGS音源が2つ一緒に入っていると考えればお得感あるような気がしませんか?
「しょぼい、MSGSレベルだ」なんていう人たち、MSGSとSC-55の音ぜんぜん違うぞ。
【搭載エフェクトについて】
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公式のカタログスペックと実機とで違います。GS音源SC-55マップのエフェクトと互換性があるので、SD-50自体が持っているエフェクトタイプはGM2規格より多いです。GM2モードでFantom系音色を使いながらGS音源にあったようなエフェクトが使えたりします。
- リバーブタイプ8種類
- 1. Small Room
- 2. Medium Room
- 3. Large Room
- 4. Medium Hall
- 5. Large Hall
- 6. Plate
- 7. Delay
- 8. Panning Delay
- コーラスタイプ8種類
- 1. Chorus 1
- 2. Chorus 2
- 3. Chorus 3
- 4. Chorus 4
- 5. Feedback Chorus
- 6. Flanger
- 7. Short Delay
- 8. Short Delay (Feedback)
- ステレオディレイ
- Left・Center・Right の左右+中央に独立したディレイエフェクト
- マスタリングエフェクト
- 低域・中域・高域 3バンドのマスターコンプレッサー
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私感になりますが、低価格帯の宿命か、SD-50のリバーブエフェクトはあまり質がよくありません。せっかく積んでいる波形が良いのに、SD-50内蔵リバーブをかけたら何だか音がボケてしまった……なんて事がよくあります(波形自体が良いからこそ低価格帯の内蔵リバーブが目立ってしまうだけかもしれませんが)。SD-50はもともとDAWソフトウェア付き解説マニュアル冊子付きのセット販売にも関わらず新品価格45,000円という破格商品だったため、音源のエフェクトの質を削らざるを得なかったのかなあ、なんて思ったりします。DACも低価格帯ハードウェア音源なりの質なので、リバーブを切った状態で録音して、DAW上でVSTプラグインのリバーブエフェクトをかけたほうが音がいいかもしれません。
【その他】
- なぜか広まってる勘違い①
- 「NRPNを受信しないじゃないか!」
- そもそもGM2規格はNRPNを受信しません。NRPNはMUシリーズやSCシリーズだけの独自拡張機能です。
- 「NRPNを受信しないじゃないか!」
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うーん、ぱっと思いつくのではこんなのしか出て来ない。
もっと色々あると思うのですが脳みその限界のようです……。
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逆にオーディオインターフェースあるし、DAWソフトあるし、SonicCellを持ってるって方は「お好み」で。
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エフェクトもマスタリングもハード音源一台で済ます「一台完結型指向」の方は、
マルチエフェクト未搭載なため、かゆい所に手が届かない状態になるかもしれません。
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現在はもう販売終了した製品で入手は中古市場のみになるので、ソフトウェア付きセットで売っていることはないと思います。今現在のDTMの環境を鑑みれば、曲作りのスケッチ用に真価を発揮する音源かもしれません。また、MFXがないことは逆に仕様が簡素ということでもあるので、仕様や使い勝手を把握しやすい音源ともいえます。Fantom系の波形を積みながら簡単にモノにできると考えれば、まだまだ使いようはあるのではないでしょうか。私自身がSD-50好きなので、SD-50、おすすめです。